2013.06.01  染司よしおか講演「紫」と岩がらみ  

講演会は1時半から。私は岩がらみ午後の部も諦めて会場へ。しかし凄い人。
おまけに気がついたらまわりはみんな女性。必至に男を捜したら、私の前の方にお一方だけ。
えらいところに来ちゃったなぁ。(;^_^A アセアセ…

今日の講演は江戸時代から続く京都の「染司よしおか」の5代目ご当主吉岡幸雄さん。染織の研究家として日本を代表する方なんだそうです。平成22年には日本古来の染色法による古代色の復元など、数々の貢献により菊池寛賞を贈られたとか。菊池寛賞って文学畑かと思ってた。

で、吉岡幸雄さんのお話はえらい学術的、というか「紫」をめぐる染色の歴史で。私には面白かったですけどね。「紫」って位では古来最上位なんです。

江戸時代初期にはそれに絡む「紫衣事件」なんてありましたね。沢庵和尚なんてそれで幕府に逆らって出羽国に流罪になったぐらいです。そういえばその沢庵和尚の天秀尼あて書状が今宝蔵に展示されています。
もっと身近には、弓道で有段者になると、弦を引く右手にはめるグローブみたいなものの帯が紫になります。
弓道は柔道より高貴なんですね。だって黒帯の黒って、色の位では最下位ですよ。私ですか? 
段は柔道でしか持ってません。(;^_^A アセアセ…

吉岡幸雄さんて何者? と思ったら職人さんではないみたいです。酒蔵に蔵元と杜氏がいるでしょう。それでいうならこの方は蔵元に相当するようです。杜氏にあたる染師福田伝士さんという方との二人三脚とか。

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上は会場風景。サンプルに色々並べてありました。
講演中は私の席からは無地の反物に見えたんですが、近づいて見ると。 薄絹? 
それも織りで模様が。それだけでも高そうなのに、加えて古代とか中世の染めの再現ですよ。
いったいどんだけ高いのやら、想像もつきません。

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個人のお客さんも居るには居るんでしょうが、主なお客さんはお寺や神社なんだそうです。奈良京都には格式あるお寺が沢山ありますからね。

映画には東大寺二月堂修二会の大松明が写っていました。それも二月堂の内側から。きっと川瀬美香監督がカメラを持って、邪魔にならない場所の壁際にうずくまって撮ったんでしょう。そんなアングルでした。
でも、逆に臨場感最高!

その修二会は大松明だけじゃなくて、実は2週間にもわたる法要で、その中に行中に仏前を飾る南天や 椿の造花作 りがあります。その椿の造花は和紙なんですが、赤い花弁はベニバナで、 「におい」と称する黄色い蕊(しべ)はクチナシで染めたものなんだそうです。この赤い花弁を作る為のベニバナの調達が大変で、農家に栽培を依頼したり、足りない分は中国から輸入したしてやっとの思いで集めるんだそうです。伝統ある東大寺二月堂の修二会ですからポスターカラーでって訳には。そんな細かいとこ ろまで古式に則りでないといけないんでしょう。
そういう意味では、日本の伝統行事を裏で支える大変な苦労があるんですね。

奥で座ってサインをされている方が吉岡幸雄さん。手前が染めた絹糸とその染料の材料です。
会場内では撮らないつもりだったのですが、他の方が皆さん撮っているので釣られて。

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写真では再現できませんが、この糸の色は綺麗だったなぁ。

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吉岡さんのコレクションの端切れ。私も昔端切れを集めていたことがありますが、格がどえらく違いますね。金額なら3桁4桁は違うかも。私の集めた端切れだって天然染料ですよ。藍染め木綿絣ですけど。あれ何処にいったのかなぁ。

昔は屑屋さんから古道具屋が風呂敷ごと買い取って良い物、そうでないものを選別してたりしましたが。中にはおしめに使った古布もあったかも。継ぎ当ても沢山ありました。今ではもうそんな「ゴミ屑」は出てこないでしょうね。思えば古き良き時代だったんだなぁ。(遠い目)

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一番上のお皿があるでしょ。この写真では判りませんが、あれが紫なんです。その染料は紫根(しこん) 。焼き物の顔料の呉須(ごす)と同様に科学染料に駆逐されて、いまや絶滅危惧類種なんだとか。江戸時代までは武蔵国でさかんに栽培されたそうです。先生のお話の中にも吉祥寺とか、井の頭公園とか出てきましたよね。

大昔、倉敷の外村先生のお宅にお邪魔したことがあるんですが、そのときに「深大寺は昔行ったことがありますよ。紫を探しに行ったんだけどね。脇に湿地があるでしょ。一生懸命探したんだけど無かった」「そうなんですかぁ」なんて話をしたことがありました。
でもそのとき私は「紫」を「露草(ツユクサ)」だと思っていたんですよね。で、確かに群生はしてないけど、探し方が悪いんじゃない? なんて思ってたんですが・・・。外村先生、御免なさい。m(_ _)m 
「紫」は「紫露草」じゃなかったんですね。白い花を咲かせるとか。何で白い花を咲かせる草の名前が「紫」なんだよ、おかしいじゃね〜か! とは思うんですが、「紫」の染料を採るからなんでしょう。いや〜、無知って恐ろしい。30年もたって冷や汗もんです。「ありますよ、どこにだってあるでしょ」なんて云わないで本当に良かった。(;^_^A アセアセ…

で、下の写真は海外の紫。西洋、と言っても、ピザンチンとかそのあたりなんですが、日本どうように紫の色は王侯(というか皇帝?)の色だったそうです。ところがその染料は日本のように草木からじゃなくて、貝から採ったんだそうです。なので貝殻が。南米でもそうして紫を染めたとか。
ん? 一番上に見えるのは二月堂修二会の椿の造花じゃない? 気がつかなかった。

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そんなこんなで講演会が終わったとき、副住職の方が、「正規の公開時間ではないのですが、本堂裏の岩がらみも見れるように致しましたので、よろしかったらどうぞ」と。ゲゲーッ、で御座います。
あたしゃ、ここに来るまで大忙しで、このあとの映画までの1時間がやっと休憩時間のつもりだったのに! 

だったら無視すれば良いじゃないか、どうせ今日は岩がらみは捨てたんだろうって? そう言ったってねぇ。
撮らせてくれるというのに無視しては失礼にあたるではないですか。撮らない訳にはいきません。
でも上のサンプルなんか見ているうちに既に20分経過。(;^_^A アセアセ…

で、本堂へ。

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岩がらみは今日が公開初日。って、正規の公開時間は午前午後ともとうに終わっていますが。

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最初はゾロゾロと沢山居たのですが、すぐに人が少なくなって、最後はほとんど私一人。

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しかしもう何年も同じような植物図鑑写真を撮ったしなぁ。どう撮ろうかなぁ。

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というので、しゃがみ込んで上を見上げて撮ったり。

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横から撮ったり。

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知らないご婦人を勝手にエキストラにしてしまったり。

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まあ、ここいらはいつもと変わりませんが、屋根に被さると絵になりますね。

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もうちょっと経つとあちらで映画会です。

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なんてことない書院の庭ですが、でもこの岩がらみの時期でないとこの写真は撮れないんです。

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このあと大急ぎで宝蔵へ。桐の紋の漆器の確認をするつもりだったんですが、もう宝蔵は閉館時間。売店のみまだやっていたので、大急ぎでお香「鈴虫」を買ってまた書院で御座います。

映画「紫」はどうも監督の川瀬美香さんが一人でカメラを持ちながらインタビューしているようです。

その川瀬美香監督。最後にご本人の挨拶があったんですが、
美人やなぁ〜、声も良いし。カメラワークも上手いし。


で、東慶寺を出てから電車で大船へ行き、整体医院(若ぶってますが本当は歳なんです)へ行って、終わったのが7時。どうしようかな、と思ったのですが、前回閉まっていた小袋谷の「山美」まで歩いていきました。すると小袋谷交叉点近くの小さな橋で、ホタル3灯にコウモリ一匹。

「山美」へ行ったら近所のお米屋さんが食事をしていて、山美さんとお米屋さんが「あれ? めずらしいじゃない! 引っ越したの? 何処にいったの? お嬢ちゃんも連れてきなよ」と。

19日に「山美」が閉まっていたのは定休日じゃなくて、親爺さんが入院してたんだって。「何処が悪いの?」「足が腫れて(なんじゃらかんじゃら)」。なんか良くわかんないけど、たいしたことは無いんでしょう。
でも「山美」の魚は旨い! 昔は良い食生活をしてたんだなぁ。

で、そのあと一人でホタル観察会です。ホタルを合計で68灯見ました。1箇所では1桁なんですがね。そんなことやっていたので、家に着いたのは12時ちょっと前です。
あ〜疲れた。過労死しそう。えっ、遊び疲れは過労死にならない? (。_・☆\ ベキバキ

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