穴窯(あながま) 丘陵地の斜面に沿って穴をくりぬいたり、溝を掘って、壁・天井を付けた窯。熱効率は低いが、焼き上がりは味わい深い。現在でも焼き締めの陶を焼くのに使われる。
磁器(じき) 陶石を主材料とした、白色でわずかに透光性のある吸水性のない焼き物。多くは釉を施してある。磁器が硬質なのは、焼成されるとガラス化する珪石を、胎土に多く含むからである。
陶器(とうき)
狭義には、素地が非透明性で磁器より吸水性のある釉の掛かった焼き物。おおむね磁器よりも低い温度で焼成される。広義には焼き物の総称として使われる。
鬼板(おにいた)
酸化鉄を含んだ粘土。下絵付けの彩料の一つ。主に鉄絵に使われる。
荒練り 成形の前に粘土に水を加え使う量を手でもむこと。粘土の両端を中心へ折り込むようにもみ、最後に砲弾状にまとめる。
糸切り ろくろ成形の場合、器をろくろからはずすのに撚糸を使って切り離すが、その時にそこにできる細かい渦状の痕を言う。
糸底 陶磁器の底のこと。語源は糸切りだが、それだけでなく削りだした高台なども言う。
カキベラ
ろくろ成形の時、器の腰の部分や高台を削ったり、表面の凹凸を作るために使う道具。
掻落とし(かきおとし) 装飾法の一つ。素地とは異なる色の土や釉、絵の具を器表全体に塗って、紋様となる部分、あるいは紋様以外の部分を削り取って紋様を表す。
型作り 成型法の一つ。木や石膏、土で意図する形の方を作り、これに粘土を押し当てて成形する。
菊練り 荒練りで砲弾状にした粘土を、片手で押し、もう一方の手で回しながら練ると、菊の花びらのようなひだができる。これを菊練りという。粘土の中の空気を完全に抜くために行う。
素地(きじ) 作陶中の粘土、または釉がけ、絵付けの前の肌を言う。
櫛目(くしめ) 素地に櫛で数条の線を入れ、模様とすること。陶芸用とは限らず、普通の櫛、またはフォークなどでも代用できる。
化粧掛け
素地とは異なる色の土を、泥奨(でいしょう)にして塗ったり、掛けたりすること。
粉引き(こびき) 白化粧土を器全体に掛ける加飾法のこと。粉を吹いたような趣からこう呼ばれる。
水挽き(みずひき) ろくろを回転させながら、粘土を伸ばしたり縮めたりして器の形を作ること。手が良く滑るように水をたっぷり付けてするところからこのように言う。
刷毛目(はけめ) 装飾法の一つ。白泥を刷毛で器表に塗りつける技法。刷毛目の跡が勢いよく走っているほどよいとされる。
針 成形中の粘土を切断したり、タタラを切り抜いたりするときに使う。
なめし皮 ろくろ成形の時に、器の口の部分や全体を滑らかに仕上げるために使う5センチ角大の皮。特に口縁を絞める時に使用すると、指でやるよりも薄くきれいな口を作ることができる。
布目(ぬのめ) 型作りの際に、土をはがしやすくするために型に布を置いておく。その痕を紋様として生かしたもの。
手びねり ろくろや型を使わずに手だけで成形すること。手づくねとも言う。最も簡単な方法ながら、独特の味わいが出る。
ドベ 多量の水で溶けた粘土の泥水。「ぬた」とも言う。水挽きの際に粘土の表面にできるヌルヌルした泥のことも言う。集めておいて取っ手の接着剤としても使える。
湿台(しった) 高台を削る時にろくろに固定して使用する生乾きの粘土、または素焼きの筒。同じ大きさの多数の高台が、能率的に削れる。
縁なぶり ろくろ成形の装飾法の一つ。器の口縁を変型させる。やり方は、全体の形を作った後ろくろの回転をゆるめ、指を使って一定のリズムで口縁を波状に押し広げる。
土殺し(つちごろし)
ろくろを回した時ブレないよう、また成形しやすいように粘土を適度な柔らかさに保ち、さらにハリを持たせるためにも必要な作業。両手で粘土をはさみながら、下から上へ引き揚げ、今度は上から下へ押し下げる。その作業を5〜6回繰り返す。
土とり 土殺しをした後、作ろうとする物に見合った粘土の分量を決め、くびれをつけて閉めること。この後上から親指を入れてくぼみを作りながら、粘土を広げて成形してゆく。
紐づくり 紐状に伸ばした粘土を、巻き上げたり積み上げたりして成形する基本的な技法。
象嵌(ぞうがん) 生乾きの素地に彫ったり印を押しつけたりして模様を施し、そこに素地と異なる色の土で埋めて模様を表す技法。
玉作り(たまづくり) 粘土を丸い塊にしてから、ろくろ成形を行う方法。粘土をろくろの上に固定して、削りによる成形や水挽きによる成形を行う。
イッチン描き 装飾法の一つ。イッチンは器表に盛り上げた紋様を描くスポイト状の道具。これに釉や彩料を入れ押し出して描く。イッチンとも言う。
トンボ 竹で作ったものさし。器の深さと直径とが同時に測れる。同じ器をいくつも作る時に最初の一個に合わせれば良いので便利。
コテ ろくろ成形の際、手では出来ないカーブなどを作る時、さまざまな形のコテを使い分ける。柄ゴテ、挽きゴテ、のばゴテなどがある。
飴釉(あめゆう)
飴色(茶褐色)に焼き上げる釉薬。鉄釉の一種で透明感がある。 色釉 色を出す釉薬のこと。長石、木炭などの配合や、金属化合物を含む粘土を混ぜたりする。酸化鉄を混ぜると、その濃度によって黄色、褐色、黒色に変化する。その他緑釉、褐色の伊羅保釉、金茶色の寺山釉などがある。素地の粘土の色や本焼きの調子が、色調を左右する。
呉須(ごす)
染付や留璃釉など藍色を出す酸化コバルトのこと。呉須赤絵、呉須染付と呼ばれる中国明代末の時期があり総称して呉須手と言う。
釉薬(ゆうやく) 焼き物の表面を覆うガラス質の層。釉薬によって焼き物は、装飾性、強度、器表の滑らかさを増し、吸水性をなくす。
自然釉(しぜんゆう) 焼成中に燃料の灰が高温によって溶け、素地の成分と化合してできた釉。備前、信楽、伊賀、越前など焼き締めの陶に見られる。
鉄赤(てつあか) 釉の下に鉄分を含む彩料で紋様を書いたもので、褐色に発色する。下絵付けの代表的なもの。絵唐津や志野が代表的。
鉄釉(てつゆう)
鉄を含む釉薬の総称。青磁釉、黄釉、飴釉、柿釉、褐釉、天目釉、黒釉などが代表的。
浸し掛け(ひたしがけ) 釉薬を入れた容器に作品全体を浸してしまう施釉の方法。
流し掛け(ながしがけ)
釉や化粧土の掛け方の一つ。ひしゃくなどで器に流して掛ける。
シャク掛け 白化粧を掛けたり、施釉する時にひしゃくで化粧土や釉薬を汲んで、掛けること。
吹き掛け 霧吹きを使って釉薬を霧状にして吹き付ける方法。
生掛け(なまがけ) 素焼きをする前の生乾きの素地に、白化粧土やその他の化粧土を掛けること。
白化粧(しろげしょう) 白化粧土と呼ばれる鉄分の少ない粘土を、水で溶いて使う加飾法の1つ。粉引きもその1種。釉掛け前の素地に掛ける。
釉はがし 素地についた余分な釉薬を削り取ること。またはその道具。歯ブラシでも代用できる。特に高台の底は確実にはがすことが大事。
下絵付け(したえつけ) 素焼きもしくは乾燥させた素地に絵を描くこと。その後、釉を掛けて本焼きする。染め付け、鉄絵、釉裏紅などで、釉の下に施されるのでこう呼ばれる。
登り窯(のぼりがま) 斜面に沿って窯を重ね、下端を焚き口とした窯。下から順に焚きあげることによって、熱が順次上の室の燃焼に利用でき、大量に焼くことができる。
素焼き(すやき) 成形し乾燥させた素地からさらに水分を除き、強度を与えるために700〜800度で焼く。本焼きのための準備段階。
支柱(しちゅう) 作品を窯詰めする時、棚板を組むのに使う柱。作品の高さによって、寸法の違うものを使い分ける。
酸化焼成(さんかしょうせい) 空気を十分に送り込んだ完全燃焼で本焼きする焼成法。この逆が還元焼成。酸化鉄は酸化炎で焼くと黒から赤褐色に、還元炎では青味を帯びる。
還元焼成(かんげんしょうせい) 窯の中に空気を送り込まず、酸欠状態で焼くこと。素地や釉が含む酸化金属が還元されて、固有の色を呈する。
炭化焼成(たんかしょうせい)焼締の焼成方法の一つ。酸素の供給を断ち、熱分解で炭素をつくる方法を利用して、もみ殻などを掛け、器の表面を黒くさせる。
貫入(かんにゅう)
釉に入ったひびのこと。焼成した時、素地と釉の膨張収縮率が異なると出来る。最初から装飾の目的でつけられることもある。
さや 本焼きの時に、作品に窯の中の灰やススがかかるのを防ぐため、作品を入れておく素焼きの容器。
本焼き 釉薬を掛けて後、高温で焼くこと。素地を焼き固めて釉薬を溶かし、焼き物を仕上げる重要な工程である。
火色 緋色とも言う。素地中の鉄分が焼成で赤みを帯びた斑文となって現れたもの。
ヒダスキ 備前焼など焼き締め陶に見られる赤い筋状の火色。器を重ねて焼成するとき、お互いにくっついてとけるのを防ぐために、器物に藁を巻くが、そのアルカリ分と素地土の鉄分が化合して赤く発色した状態を紋様、景色として楽しむ。火襷、緋襷とも言う。
焼き締め(やきしめ) 作品の素地に釉薬を掛けないで固く焼き上げること。備前、越前、信楽など。
釉ダレ 素地に掛けた釉薬の流れた跡が残ること。流れやすい釉薬を部分的に厚く掛け、流れた跡を景色として楽しむ。
窯変(ようへん) 焼成中、素地や釉に偶然生じた色や状態の変化。土、釉、炎、器物が置かれた位置などによって複雑な変化が起こる。
出西窯
陶工用語 より転載出西窯の方、どちらが読みやすいか見比べてください。
変なテクニックは使わない方が読みやすいです。