佐助の「もやい」へ
くずてつ奥様は焼き物の絵付けの先生をしていらしたとか言うのでね。 ジェイくんはジェイくんで、ご幼少の頃、「もやい」がまだ北鎌倉に有った頃にお母上に連れられて良く行ったんだそうです。
店は春の沖縄新作展の直後だったらしく半分は沖縄の陶器がしめていました。
オーナーの久野さんは私の大学の先輩で民俗学の宮本常一先生の一門。 元ですが。 その久野さん、普段はあまり店に居ないんですがこの日はたまたまお店に居て、 年齢は十代からウン十代までまんべんなくそろえたような、カッコもグリーンベレーに自転車レーサースタイルに、ただのお散歩スタイルってバラバラな我々一行に、 「何なんだこのグループは? ったくお前はなにやってんだか全く解らね〜やつだな〜」 でやんの。(笑)
その奥様は久野さんや私の後輩に当たるんだそうですが、 うちの母の話によると民芸協会の集まりのときに、 東洋美術史の水尾比呂志先生と久野さんの話になって、 「愛弟子を日本民芸館に入れてあ〜これで民芸館も安泰、と思ったら 久野君がかっさらっていってしまってガックリ 」 とぼやいておられたそうな。 「久野さんの結婚相手は美人らしい」 と私が最初に聞いたのは水尾先生経由のうちの母からです。 いや、実際美人な奥様でした。
ところがその久野奥様、私がくずてつ奥様に沖縄の陶器の説明をしていたら、 「あら、岩田さん、まだちゃんと憶えていらっしゃるんですね。」(笑) でやんの。そういう口の悪さは亭主の悪影響に違いなし。 フキフキ "A^^;
お茶を入れて下さったので奧の席に上がってちょいと休んだのですが、 ジェイくん:「岩田さんいつもここを喫茶店代わりにしてるんじゃないですか?」 わし :「う〜ん、大抵お茶だけ頂いてるな〜。」
くずてつさんは「さっぱりわからん」て顔をしていましたが奥様には気に入ってもらえたようです。お揃いのお茶碗をお買いあげ頂きました。(笑)
話変わって、うちの娘に 「なんか欲しいのある?」 と言ったら 500円の竹の箸が欲しいと。 「それだけ?」 「欲しいのはあるけど高いからいい」と。 この子にしてはえらい殊勝なことを言うなぁ、なんか悪いものでも食べたんかしら? と思いながら「どれ?」と聞いたら白磁のそば猪口2つ。 うっ、この形好きでない! 白磁なら石飛さんか山下さんだろ、こんなの嫌邪! しかし娘は 「こないだママのを割っちゃったんだもん、 これ色が綺麗じゃない、これならママも気に入るよ〜」 まあ釉薬はいい感じだけど、でもな〜 と思いながらも娘が言い張るのでしかたなしに店の裏に回って、 「久野さん、これどこの窯?」 「大日窯(伊万里)に決まってるじゃないか、そんなことも忘れたのか!」 「へっ? これがあの大日窯? 今はこんな釉薬を使ってるんだ〜」 「今じゃなくて数年前だけどな、その釉薬はもう作れなくなっちゃったよ、 それが最後だよ」 「う〜ん、じゃ〜買うしかないかな〜」 「買え買え!」 しょうがない、と店の表へ戻って奥さんに 「これも下さい」と云ったら 「岩田さんもちゃんとやさしいお父さんをやってらっしゃるのね。意外だわ〜」
最後の一言はなんじゃ!(怒)
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