倉敷の旅 2009.4.9 鶴形山阿智神社 |
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倉敷駅倉敷駅のホームに降り立ったのは9時30分。倉敷に来たことは数回は有りますが、もう3〜40年前のこと。あのころ駅舎は木造だったような。何なのこの都会は!
ちょっと不安になってきました。それにしても、まだ午前中なのに暑い。 倉敷えびす通り商店街表通りはつまらないので、裏道というか、昔からの商店街を通っていきました。 倉敷えびす通り商店街です。アーケードの天井には盛大に鯉のぼりが。 鶴形山への道アーケードを抜けた処に、鶴形山への道がありました。鶴形山の山頂の標高がどれぐらいかというと・・・。36.8mで御座います。 倉敷の古名は「阿知」で、平安時代の百科事典「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう:和名妙とも)」ではこの一体は「備中の国 窪屋郡 阿智郷」です。この鶴形山は大昔は島で、周辺一帯は阿知の潟と呼ばれる浅海だったそうですが、高梁川の沖積作用による堆積が進みます。 室町時代中期からこの地に勢力を広げてきたのが、後に戦国大名となった宇喜多氏で、 秀吉の時代には五大老の一人ともなった宇喜多秀家が、1584年(天正12)に潮止め工事と新田開発を大々的に行ったのが事実上の倉敷の始まりとか。その開発は江戸時代以降にも継続されます。「倉敷」と呼ばれるようになったのは江戸時代に天領となってから・・・、と思っていたんですが、最近では倉敷村が誕生したのは戦国時代〜安土桃山時代の間(1565年〜1585年)という説もあるそうです。ちょうど宇喜多秀家の新田開発と期をいつにして、あるいはそのちょっと前からって感じでしょうか。 阿智神社その鶴形山の上には阿智神社があります。こちらがその随神門。倉敷の総鎮守で創祀1700年と伝えられます。 古事記には、応神天皇の頃に朝鮮半島より渡ってきた「石」「鉄」「織」等の先進文化を担う技術集団・東漢氏(やまとのあやうじ)の祖先とされる阿知使主(あちのおみ)とその子、都加使主(つかのおみ)が十七県(あがた)の漢人(あやひと)を率いて帰化したと書かれているそうです。 履中天皇の頃、阿知使主族に功績があり、蔵(内蔵寮)の官に任命され領地を賜ったとあり、阿知の名前が残されたこの地がそれであったと推定されています。平安時代の「和名妙」にも「阿智明神」として登場するという古い神社です。祭神は、海または水の守護神の宗像三女神(多紀理毘賣命、多岐都比賣命、市杵嶋比賣命)。宗像三女神は渡来系の神様ですね。 もう40年近く前の記憶ですから定かではありませんが、戦前は朝鮮だの中国などから渡ってきた神様というと肩身が狭かったのか、戦後すぐぐらいのときには、神主さんに由来を聞くと「解りません」と言われたそうな。誰を祭っているか知らないって? そんな馬鹿な! と当時思いましたが、知らないんじゃなくて言いたくなかったんでしょうね。 今からすると、原始八幡信仰だって渡来系の神様なんだから、そもそも大和朝廷は元を辿れば渡来系って話が有力なんだから、気にすることは無いじゃん。と思いますが、皇国史観の軍国主義華やかりし頃の記憶がまだ鮮明に残る頃には、それを言うのははばかられたのかもしれません。 デッカイしめ縄!注連縄は紙垂(しで)をつけた縄で『万葉集』には「標縄」と、「標」は「占める」の意味です。あと、一定の間隔で藁を三・五・七本と垂らすことから七五三縄とも書きます。字と読みが全然違いますが。神道では神域は常世(とこよ)であり、俗世は現世(うつしよ)。注連縄は常世と現世の二つの世界の境界を表しすということらしいのですが、もっと単純に言うと、神様の占有する場所、神域を示すとってことでしょう。 神話の世界での起源は、あの有名な天照大神(女神です)が、天岩戸に閉じこもって引きこもりをやったとき、外でアメノウズメ(天宇受女命)のストリップショーのお祭り騒ぎに「何をやってんのかしら?」とちょっと岩戸を開けたときに、今だ! と引きずり出されちゃった事件がありました。 そのあと二度と天岩戸に入れないよう太玉命が注連縄(「尻久米縄」)で戸を塞いだのが起源とされています。でもそれって、神様の筆頭・天照大神を入れなくするってんだから、意味が逆じゃない? まあ、「結界」という点だけは一緒ですが。それにしても。神話の神様って、結構人間くさくて面白いんですよね。 ところで、ちょうど桜祭りの期間中でした。桜が満開。 米寿坂娘が座っているこの石段は八十八段あります。 六十一段の還暦段、三十三段の厄除段を上がって随神門、その門内に七段、拝殿の五段にもそれぞれ意味があるんだそうです。 あの鳥居の向こうの本町通りあたりから向こうは昔は海、そのあとは湿地帯だったんでしょうね。 白壁と貼り瓦その石段の途中には、倉敷を象徴する白壁と貼り瓦が迫っています。 この光景に「は〜、倉敷に来たんだなぁ〜」って感慨ひとしお。30数年ぶりです。 |
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