北鎌倉 2012.05.15  東慶寺アーユルベーダー講演会  

今日は最初から雨。なのに私は東慶寺にやってきました。嗚呼このカメラマン魂!

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では御座いません。東慶寺でアーユルベーダーの講演会があったんです。

娘に「アーユルベーダーの講演会に行くのじゃ」と云ったら「あっ、知ってる♪ エステのサイトに良くでてるよ!」でやんの。頭にきて「フン、まがいものメ!」と云ってやったら、「良くでてるって云っただけじゃん。あたしにあたらないでよ!」と怒られました。そりゃまあそうだって一応謝ってはおきましたが。
でも、申し上げておきますが、アーユルベーダというのはインドの伝統医学のことなんです。そりゃ〜お釈迦様の時代からアロマは研究されていたそうですが、それは心身の健康の為で御座います。

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今回の講師はインドのケララ州トラバンコール王家一族のシバクマール・バルマ先生。ほんまもんのアーユルベーダ医師さんでっせ。それも血統証付きの貴種。頼朝みたいですね。
何でも2万年も続く一族で、代々アーユルベーダを伝えているとか。2万年前って石器時代じゃないかって? クロマニョン人の頃ですね。文字は絶対に無いよね。言葉はあったんですかね? でも日本だって沢山の神様のことを「八百万の神」なんて云いますから、とっても古い一族と云うことを表しているんでしょう。なんせインドの王族ですから。
という訳で、今日はここから書院です。

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高木侃先生の講演のときに、書院正面の門からは入ったことがあるんだけど。ここからは始めて。なので今日のセッコク(長生蘭)はいつものアングルでは御座いません。

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中に入った証拠写真で御座います。色んな角度から撮っちゃいました。

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うわっ、裏側にも咲いていたんだ! 
でも色が2種類ありますねぇ。種類が違う? それとも咲き始めと咲き終わり?

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あちらが書院のお玄関です。

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書院の天井には菊の御紋が。第五世用堂尼が後醍醐天皇の皇女であったことから、ここ東慶寺は「松ヶ岡御所」と呼ばれています。この天井の菊の御紋はその格式故なんでしょう。

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バルマ先生の家系に伝えられたブッダ(お釈迦様)のお話はとても面白かったです。ブッダの時代に既にヨガとアーユルベーダはあったそうで、ヨガとアーユルベーダは兄弟姉妹の関係なんだとか。アーユルベーダとは命の知識(学問)という意味のサンスクリット語。ブッダはアーユルベーダの学校をいくつも作ったそうで、今で言えば精神神経免疫学のオーソリティだったんですね。素晴らしい。アーユルベーダのエッセンスは「正しい栄養」「不要なものは捨てる」そして「バランス」だそうです。なんとシンプルな。

問題は、身体のレベルの「正しく食し」、「正しく排泄する」だけでなく、メンタルな面でも「要らないものを捨て」「今を生きる」そしてバランスが大切と。怒っていればその人のストーリーは間違ったものになる。そしてその人は過去に生きている。心の中の要らないものを捨てるとは、怒りなどの過去ではなく、欲という名の未来でもなく、現在、此処に戻して新しいストーリーを始めることだと。これがねぇ、頭では解ってもなかなか難しい。私なんて煩悩苦悩のまっただ中で御座いますよ。

ブッダに関わる色んな話をしてくれました。ある人が道に落ちていた紐を蛇だと思ってビックリ仰天。恐怖におののき知人の家に駆け込んだがそのまま病気になってしまった。気持の持ちようで病にもなると。心身相関ですねぇ。煩悩苦悩な私としては心に浸みます。プロポリスも傷口に塗ると浸みて痛いんだよねぇ。

もうひとつ。どうも禅問答はインドではブッダの前から普通にあったみたいです。禅問答とは云わなかったですけどね。同じことが人それぞれの眼によって全く違うストーリーになるという話なんですが、難しい話ではなくて最後にはみんなゲラゲラと笑っちゃいました。まてよ、バルマ先生が云わんとしたことと、私が聞いたつもりでここに書いていることも全く違う可能性が。 ""A^^;

ブッダは「うつわに水」「船に船頭」という言い方をしたそうです。「うつわ」「船」は肉体、「うつわ」のはそこに「水」が入って始めて価値が生まれるし、「船」も漕ぎ手がいなければ只の木材だと。「水」「漕ぎ手」が命であり心だという訳です。少し前まで西洋医学は「うつわ」学でした。まあ今でもほとんどそうですが、でもちょっとだけ変わりつつあります。

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前半が終わった後、昼食の用意をする間に水月堂の水月観音様を拝見させて頂きました。書院から本堂を通って行きます。本堂の中に入ったのは正真正銘の始めて。まわりの縁側は岩がらみのときに何周もしていますが。(そう言えば岩がらみには蕾が。楽しみですね。)

水月観音様は毎年の宝蔵での公開のときに何度も拝見させて頂いているのですが。
違います。水月堂におられる水月観音様は全く別人の様。ホームとアウェイでは気分が違うんでしょうか。そう言えば本堂の中でお詣りするご本尊もまるで別人の様でした。直にお願いをしたので、きっと適えてくださるでしょう。えっ、花祭りのときに頭を叩いたからダメ?

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そして書院に戻りバルマ先生を囲んでお食事。先生がお祈りを捧げます。何とお祈りしたのかはさっぱり解りませんでしたが、なんか心がシーンとしてきます。

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この御食事は、鎌倉在住のインドの方に作って頂いたそうです。
極楽寺の方で香辛料のお店をしているとか。バラッツさんとおっしゃるんですか? バルマ先生の話によると、なんとかいう地方のブラーミン(ブラウマン、バラモンとも)の伝統的な料理だそうです。

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食べ始めたらおじやみたいなものと、これ何? ナンじゃないよねぇ。チャパティって云うの?
それとプーリーかなぁ。それが出てきました。おじやのようなと思ったのは豆だった。その豆料理をよそった朱漆の器。使いふるされた感じで良かったなぁ。朱漆のお椀なら持ってますが、ああいう根来みたいな浅い漆器はひとつも持ってません。欲しいなぁ。でも高いだろうなぁ。
そんなに高くないって? 最近の根来は態とらしくて好きじゃないんです。

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そのチャパティを作っているところ。

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フライパンで焼いたあとサッと直火。フワッと膨らみます。面白い♪

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食事のあと、向かいのご婦人から「デジカメを持ってきたんだけど、自信がないのでお庭のカキツバタを撮ってくれない?」とご注文が。ついでに自分のカメラでも撮しちゃいました。

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ん? あれは何だ? なんてことは昔も書いたような気が。いまだに名前が解りません。
良いじゃありませんか、人間の知識なんて、所詮は点のようなものなのです。
えっ、ブッダの教えを言い訳に使うなって? (。_・☆\ ベキバキ
あれ? 「東慶寺 花だより」が更新された。何々、これは山椒バラだったのか。
そう言えば葉っぱが山椒みたい。

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色々と興味深いお話があったのですが、「知識からアートへ」なんて良い言葉ですね。
科学はダメで音楽や絵画こそが、なんて話ではなく、人を感動させるものがアートだと。
素晴らしい。洞察力や推論の見事さに感動させられる歴史学者や科学者は沢山居ますもんね。

あとはそうですねぇ、「自分自身に触れられたかどうかは、喜びが生まれたかどうか」とか。
そうそう、アーユルベーダではマンゴーは正しい感覚のもとでは愛が生まれると云うそうです。
そこでみんなでマンゴーを口に含んで瞑想。瞑想といっても禅問答の公案を考えるんではなくて、何も考えずにゆっくりとマンゴーを舌で押しつぶしながらその甘みに心を集中するんです。
マンゴーの甘みと舌触りって、エロチックだなぁ♪ 
満月の夜に、体を清めたあとに、男女でそうしてマンゴーを食べると、愛と絆が深まるとか。
う〜ん。そういうことはもっと早く教えて欲しかった。

えっ、色即是空なお寺の書院でお前はそんな不謹慎なことを考えてたのかって? 
「色即是空」のあとには「空即是色」があるじゃありませんか。「素直に感じ、歓び、笑う」ことはアーユルベーダだけではなく、ブッダ的にも心身医学的にも「吉」。儒教な禁欲主義や「ねばならぬ」は「凶」で御座います。食べ過ぎは別ですけど。

【追記】
ところでこの講演会には深い謎が。主催者が誰だか解らないんです。
東京でも2回やっているんで東慶寺主催ではなさそう。でもHPはこの講演会だけのもので、どこぞの組織という訳でもなさそう。カナダでバルマ先生にお世話になっていた人達が開いたんかしら?

後で知ったのですが、薬師如来はアーユルベーダを体現しているとか。すると悲田院や施薬院を作った光明皇后は日本のアーユルベーダのパトロンなんですかね?

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