民芸・工芸        沖縄の金城次郎窯(人吉編)

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前回ちょこっと登場した私の常用デカマカイです。径は15cm。私が手に入れたのが30年ぐらい前で、その頃既にそこそこ古いものだったのでまあ40年ぐらい前と言うぐらいでしょうか? 正確には解りませんが。
自然光で撮ったのに青みがかって色調補正が大変でした。今窓辺に置いたものとこの画像を見比べて調整、ほぼ忠実です。ちなみに背景は、何処のだったかなぁ、ベットカバーになってます。


こちらは夜間に室内光で現物調整したもの、色って相対的なもんですからね。右の伏せてある方が使っているもので、左は予備の使っていないものです。

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上薬が薄いので生地に吸われちゃったのかテカテカじゃなさ過ぎ。はっきり言うときしゃないですね。今店に出したってだれも買わないでしょうね。試しにもやいの棚にでも置いといてみろって? ぞ、ぞりゃご勘弁を。(;^_^A アセアセ…

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前回お話した倉敷の民芸店を最後に(と言うかあれだって稀有だったんですが)壺屋のものが全く見えなくなりました。さて、「残っているとすればどこか?」「そりゃ人吉の上村さんのとこぐらいだろう。そもその沖縄の金城さんとこのはほとんど上村さん経由なんだから。」
と言う訳で兵糧、軍資金を蓄え、一世一代の「人吉侵攻大作戦」が展開された訳です。
って大げさな! と思われるかもしれませんが、あ〜た当時は20代も半ばの今にも潰れそうな(潰れたけど)町工場の設計屋だったのですから九州の人吉まで行くだけだって大変な負担です。幸い友人(先輩だけど)がこの関係の仕事をしていたのでその仕入れ旅行に便乗。
そもそも「上村さんとこ行くぜ」と言われたのか、「上村さんとこ行こうよ」と持ちかけたのかはっきりとは覚えていないのですが。
当時、年に1度の夏休みに有給休暇をつなげ、その友人の仕入れ旅行に同行して遊んでいたのですが。寝泊まりは車の中で富山の民芸館で顔を洗ったなんてことも。まあバックパッカーみたいな、お抱え運転手付きヒッチハイカー(なんじゃそりゃ!)みたいな旅行だったんですが、まあそういう歳でしたから楽しかったですね。旅費は浮くし、黙っていてもド田舎の骨董屋(ほとんど古道具屋?)で車は止まるしね。(笑)
そんで、車が止まったら先を争って骨董屋に飛び込み、物色・奪い合いを演じていた訳で御座います。そんなに買ったのかって? いや二人とも金が無くて、なけなしの金で良い物をとなるもんですから熾烈なんで御座いますよ。そんなもん1軒の店に有って1個か2個でしょう。(笑)

が、このときは違っておりました。途中で骨董屋に入っても、窯元で良いものを見つけてもじっと我慢で御座います。そして人吉へ。はっきり覚えていませんが夜の夜中、店が閉まったあとに着いたような。確か2階の部屋だったかな? 上村さんがガサゴソと古いものを出してくれて、それがまあ、けっこうイビツ。だから残っていたのかも。

おまけに私が行く何ヶ月前か前に水尾比呂志先生がお邪魔したらしくって、えらい感動してあれこれ買っていったとか。だから良いものはみんな水尾先生に取られてしまった後の残りカス、残飯整理だったのかもしれません。まああの先生とは好みも違いそうですがね。
でも、残飯整理だって良い店の残飯なら見かけはともかく味は確かな訳で御座いますよ。ってやったことはありませんが。(;^_^A アセアセ…
そんな訳で、私が選んだものは、古い壺屋の中から

  • 絵付けはダメだけど形の良いもの
  • 焼きの具合でいびつになってるけど発色の良いもの
  • 生焼けだけど絵の勢いが良い物、

とまあそんな感じです。どこかに難ありなのですが、それでも好きなところが確実にある!
と自分で思っていればば人生幸せなんで御座いますよ。(笑)

そういう中でもこのどんぶりは絵付けの勢い、発色、ちから強い形と3拍子そろった逸品。我が家ではね。でも難があるんだろうって? はいな、焼きの具合で形がいびつです。(笑)
でも気に入っていて、うどんやインスタントラーメンを食べるときにはこれを使っています。コンビニのおでんだってこれに移せばえらいリッチな気分になります。コンビニのおでんもなかなか侮れないと思うのはもしかしたらこの器のせいかも? ってそこまで言うか。(,_'☆\ ベキバキ

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上は私の目にはこう見えていると言う心象画像です。まあWEB上の画像としてはこの方が見栄えは良いですよね〜。でも現物色合わせでは下の方が忠実です。とこういうことにいくら凝っても、表示するディスプレイで全然変わってしまうから意味無いかもしれませんが。

狙って撮った訳では無いのですが、上下の画像だけでもいびつなのがお解りになると思います。
でもこれは売れ残りだからで、これが作られて頃でももっとちゃんとしたのが沢山有ったんだろうと思います。でもその昔「お皿5枚にお茶碗3つ頂戴♪」のほんとに農民・漁民の日曜雑器だった頃には別にそんなこと気にもしなかったんじゃないでしょうか。
利休以降のお茶人がお宝にした朝鮮の日曜雑器、井戸茶碗だって沢山見るとけっこういびつですよ。あちらの世界ではそれが「すんばらしい♪」になっていますがね。

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見てください、この力強さ! すんばらしい♪
でもね、うどんやラーメンを食べるどんぶりとして機能的に100点満点かと言うとそうでもないのです。まあ65点が良いとこですかね。どこがって? この淵が少し水平になっているんでおつゆを飲むときに気をつけないと口の脇からこぼれそうになるんです。フキフキ "A^^;
気をつければ良いのですが。

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現代の沖縄のもので上のマカイ?に一番似た小鉢がこれです。絵付けも似ています。
経緯は知りませんが、一生懸命昔の絵付け、形を再現しようとしたのではないでしょうか?
そうだとしたら立派なことです。

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でも、どうしようもなく違います。不良品に慣らされた私の目にはね。

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先に挙げたドンブリマカイは内圧が高くて外側に膨らんじゃったって感じですが、現代のものは外圧が高くて型に押しつけられちゃったって感じです。でもこれは陶工の腕ではないのかもしれません。どっちが上手かと言えば現在のものの方が上手ですね。形は整っている。でもそれと力強さは別です。
もしかしたら、私も含めて、人間の方が変わってしまったのかもしれません。陶工だけじゃなくてね。そういう思いを強くするのは釘絵にもあるのですが、それはまた後の話に。

そうは言っても、そりゃ評論家的視点でジッと眺めているときの話で、こうなってしまうと・・・

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良いですね〜似合いますね〜♪ これはラフティーです。
急に絵柄が生き生きとしてきます。水を得た魚って感じ、不思議なもんですね。
だもんで今は近所の沖縄料理屋さんに置いてあります。


なんかしゃべり過ぎたので後は軽く流しますか。
このふたつ、典型的なマカイですね。なんとなく中国南部から現在のベトナムの明の時代の磁器・陶器の椀の面影が微かにですが有るように思います。当時の流通経路大げさに言うと海の道はこんなところにも足跡を残しているのかもしれません。

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井戸茶碗ですか? う〜ん、違う系統じゃないかな〜。フキフキ "A^^;

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