賄い家の民芸・工芸 石飛勝久さんの器-酒器?

 

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今あるものの中で一番好きなのがこれです。一番使っているかも。
何に使って居るかというと、お酒です。徳利はほとんど使いません。いや、持っていない訳じゃないのですが、私の徳利は「もしかしたら花瓶?」ってやつなんで入りすぎる、ないしはどれだけ入れたか解らない。それに徳利だと注いでいるときにどれだけ入っているのか解らないで突然溢れてしまうことが。 "A^^;
だもんで、でこれに1升瓶からトクトクトクっと注ぐと片口に自然な分量でだいたい1合ぐらい。自分の酒量も解り、お酒を無駄にこぼしもしない、体に優しく省資源な器なので御座います。てこともありますが、なによりこの器が好きなんですね。

しかし、結婚して最初の正月(だいぶ昔の話ではありますが)、お目出度い日だからとこの片口を取り出してお酒を注ごうとしたら、嫁は「非常識だ!」とわめき散らすではありませんか。
嫁からすれば片口なんてもんは台所の片隅で食卓に出す小瓶に醤油とか注ぐものと思いこんでいたらしいのです。私は思わず「こんな嫁は離縁してやろうか!(怒)」、と思いました。平安時代の宮中だって木の片口からお酒を注いでいるではないか!
えっ? あれは口が両側に付いていただろうって? そ、そうだっけ。(;^_^A アセアセ…
でも、こんな形の良い器で酒を注ぐなんで最高の贅沢だと思うんだけどなぁ。


その片口からお酒を注ぐのに一番雰囲気のあるのはこの杯達です。
一番好きなのは真ん中、一番嫌いなのは右ですね。あくまでこの中での話ですが。
右は形がカチッとしすぎているんです。真ん中と左は結構遊びながら轆轤を引いたんじゃないですかね。いや、ご本人に聞いた訳ではないので解りませんが。
かなり荒い、と言うか小石の混じったような土(いや磁器なんだけど)をワザと使って形も不揃いです。でもそれがゴチャゴチャと竹籠に入っているなかからひとつひとつ取り出しては好きなカタチをえらぶのがものすごく楽しかったですね。
しかし、そうして良い物の取られた残りはどうなったんだろう? えっ、お前が持っていったのがそれだって? うげっ。(;-_-X;)

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ぐい飲みなのかどうかは解りません。もしかしたらお煎茶のお茶碗なのかも?
でもわたしは焼酎のお湯割りを飲むのに使っています。

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ちなみに今「さつまげんち」って鹿児島の芋焼酎の封を切ったところです。
奄美の「瓶仕込み」が切れてしまったのでね。「さつまげんち」は新参者ですが美味いですね。
でも賄い家のレギュラーは鹿児島は中村酒造の「玉露」です。
ん? 「玉露」ならこれで良いのではないけ? って違うだろ!(,_'☆\ ベキバキ


日本酒のときはこれ。実はこれも先の杯と同様、不揃いシリーズだったのです。
仲間3人で順番に好きなのを取っていったのですが、私は順位最下位で、順位1番の仲間が選んだものを「クッソー!」と横目で見ていました。そんな訳でこれは最初はそんなに気に入ったものでは無かったのですが、でも永年見ているうちに段々好きになりました。実を言うとこの上下3つの中で一番味があるのではないかと。

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この吾須のぐい飲み(私のとってはね)は曰く因縁のあるものなのです。

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話せば長きこと ながら、倉敷の堤窯武内晴二郎さんのところから持ち帰った愛用の湯飲みがあったのです。
ある時二階からそれをお盆にのせて降りるとき、妹が帰ってきたときまるで棚かなんかのように持っていた荷物をその階段の下の段に置いていて、お盆を持っていた私はそれが見えずに足を滑らせて階下に転倒、痛いことよりもなによりも、その自分で唯一仕入れた愛用の湯飲みが割れたことに茫然自失。
「○○の店の右側の○段目にこういう形の呉須の煎茶茶碗があるからそれで弁償しろ!」
と東京の調布から鎌倉まで買いにいかせたのがこの煎茶茶碗です。いや、煎茶茶碗だと思うんだけど? でも、どうも先の呉須でない素の白磁の方が私は好きなようです。酒を飲むときは前の2つのぐい飲みの方に手が行ってしまいます。こちらは見ているぶんには申し分ないのですが。手の中での収まり具合ってものもあるようです。

2005.10.22追記

新しい器を入手しました! これです。ちょっと画像が青みがかってしまいましたが。

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えっ、奧の瓶は何だって? よくぞ聞いて下さいました。
これこそはあの「シェーカー教徒かしら?」と思うほどの清楚な方(よいしょ!)が沖縄から持ってきて下さったお土産の泡盛です。 

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しかし新しい器に泡盛のくーす(古酒)、こうなったらつまみは例によって「近為」のお漬物でしょう! と言うので帰りに買ってきました。蕪(カブ)です。
一見無骨なこの面取りの器、眺めるよりも酒を入れて、手に持った感じがとても安心感があって良いですね。