釈迦堂切通の道    竹之家の田舎蕎麦

私は蕎麦マニアではありませんから、別にあちこち食べ比べたりはしませんが、ここのお蕎麦は好きで良く行きます。

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行くと言っても「竹之家へ行こう!」と思って家を出る訳ではなくて、こっち方面を自転車で散歩しているときに「さぁどこで食べようかな? 今月はまだ行ってないから竹之家に行こうかな?」と言うような乗りですね。


鎌倉ではこちらと、あとは「段葛のこ寿々 」ですね。「五島 」もお蕎麦屋さんですが私は天丼を食べているので。ちょうど性格が違うので、この2軒で十分満足しています。
「どっちへ行こうかな?」と考え込むのはここと「こ寿々」ではなくて、ここと「百苑」です。なんせ2〜300mしか離れていないので。

私がこちらの竹之家を最初に気に入ったのはこのごく普通の古い家みたいな控えめな店構えと、あと入り口の引き戸の両脇に盛塩がしてあったことです。
たったそれだけのことなのですが「おお、このお店は良いお店に違いない!」なんて思っちゃったんですね。まあ、おちついて考えれば余所だってやってあるのでしょうが、なんせこのシンプルな入り口ですから嫌でも目に入る。おまけになにか様になっている。

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あれ? 暖簾が違ってる。


こ寿々」とこちらの性格の違いと言うのは、なんとなく「こ寿々」の方が「お上品」で、それと比較すると竹之家さんは田舎蕎麦って感じかな? いや世間でどう言われているのかは知りませんが。
でその田舎蕎麦ですが、メニューに普通の「せいろ」とは別に載っていたんです。ここの「田舎蕎麦」ってどんなんだろう? と注文してみました。・・・・・後悔しました。フキフキ "A^^;
いや、たしか「太いですよ」とは言われたんですが、・・・

これ「太い」じゃないでしょ、こりゃ「ぶっとい」でしょう! 私、蕎麦を注文したんですけど、蕎麦って細いもんでしょ? 太いのはのはのは「うどん」でしょ? 

などと口には出せませんでしたが、そう言う思いが頭の中をグルグル。(笑)
しかし注文した以上、食べなければなりません。
もとより「つるつると飲み込む」ことなど出来る訳もなく、一生懸命もぐもぐ。顎が疲れてきました。溜息をついてまた、もぐもぐ。顎が痛くなってきました。 (ノヘ;)シクシク..
しかし、大発見があったのです。 「蕎麦って甘いんだぁ!」 (^o^)

と言うことから女将さんとあれこれ話しをしながら食べ終えたのですが、女将さんの言うには本当の田舎の田舎蕎麦はそれよりももっと太いんだそうです。確かに私が食べたのは「うどん」よりは細かったですが。(笑)

確かに蕎麦って蕎麦粉を食べやすいように練って切ったものだもんなぁ、本来はマニアやグルメな食べ物じゃないもんなぁ、食えるもんは何でも食ったんだもんなぁ、そう言えば明治時代はおろか、戦前と比べてだって日本人の顔の骨格は変わってきたらしいぞ。

などと高尚に学術的に日本人の生活文化史に思いをはせていたんでありましたぁ。
(ほんとか?)

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そのあともう一度その田舎蕎麦を食べに行きました。意を決して、覚悟を決めて。
やっぱり顎は疲れたけど、やっぱり甘かったですね。あれは本当に感動です。
うちの娘にも食べさせてやりたいんだけど、駅から歩いて1kmぐらい、と言うと「嫌っ、遠いから行かない!」と振られてしまいます。 (ノヘ;)シクシク..

えっ? それ以来ずっとぶっとい田舎蕎麦を食べているのかって? 一度少し遅い時間に行って、ガラガラ、っと戸を開けたら、
女将さん:「もう田舎蕎麦しか残っていないんですよ」
私    :「じゃ、また来ま〜す」
     
(笑) 


私はいつもアフリカ探検隊か登山みたいなカッコして自転車で行くのでこちらの女将さんにもすっかり顔を覚えられて、北鎌倉に住んでることまで覚えられていて良く話しをします。

「今日は、北鎌倉の方は人の出はどうですか?」「小町通りの方はどうでした?」
なんてことまで。わしゃセンサーかい!(笑) って「大くに」の親爺さんもそうだなぁ。

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こないだ初めて暖かい蕎麦を食べました。いやぁ、走ってるとホント寒い日で。(^_^;)

ちなみにこの囲炉裏の席が私の定席です。最近女将さんとしている話しはこの黒い藁灰のこと、昔はそれこそ俵みたいに藁を沢山使っていて、荷作りの緩衝材も藁だったりで、東京にいても手に入らない事もなかったんですよね。
で、それを燃やしてこの黒い藁灰を作って、それを火鉢に使ったりしたんですが、日にちとともに黒い灰が白い灰になってどんどん量が目減りしていって上から継ぎ足したりしていました。黒い灰は藁の形がまだ残ってザックリしているので空気を通すんですよね。真っ白灰になってしまうともうほとんど空気は通らない。炭は上から下にゆっくりと燃えるだけです。

女将さん:最近の方はこの藁灰をご存じ無いんですよねぇ、
      何でこんな風にしてるんですか? なんて良く聞かれるんですよぉ
わたし  :う〜ん、最近の人は藁を燃やして灰を作ってなんて見たことも無いでしょう
女将さん:でも貴方は良くそんなこと知ってますねぇ
わたし  :いや、見かけによらず歳を食っているので。フキフキ "A^^;
女将さん:そおなんですかぁ???

いや、あの女将さんもご主人も、俺より若いと思うぞ。 (;^_^A アセアセ…


ところが残念なお知らせが。この竹之家さん、2010年末をもってお店を畳むんだそうです。12月12日にカレンダーを持っておじゃましたら、女将さんが「主人ももう歳なので」と。まあ、最後にお蕎麦を食べられたのは幸せだったと思うことに致しましょう。でも残念ですね。しかし、親爺さんはそんなに歳には見えなかったけどなぁ。