サドルバックサポータ作成記
さて、3世号の企画段階でハンドルの他にもうひとつ解決すべき問題がありました。
サドルバックサポータです。2世号についている普通のサドルバックサポータで は左の用に長さが足りないのです。パンパンに入れるとなんとかな りそうなのですがいつもそうと言う訳にはいきません。
だいたいタイヤとサポータ の間にこんな無駄なスペースが。これでは容量を圧迫すると言うのがそもそ もの問題ですね。
2世号での回避策はこれ。泥よけを取り付ける為に、裏にアルミの板を隠してサポータに取り付けるのですが、その板をサポータより長くしたんです。
大体このサドルバックサポータが短いのがいけない!
で、ケルビムの今野さんにお伺いをたてたら「昔は作ったけどもう嫌だ」と。こういう小物は沢山作るならともかく、ひとつだけ作るなんてえらい大変なんだそうです。大体治具(まあ型紙、枠みたいなもの)もそろっていない。
神田の某パスハン屋さん(笑)にも行ってちらっと相談したんですが、 「自転車とセットなら受けても良いと」 。 うう、そういう訳にはいかん、あの頑固者のHさんがわしの希望通りの自転車なんか作る訳がないではないか! 絶対にアルプス流のフレーム設計を押しつけられる。大体Hさんに作ってもらったらHさんに「どんなもんじゃい!」と言えんではないか。わしゃ大先生のHさんに逆らう為に自分で自転車を設計してるんだから!(笑)
もっともHさんが、「自転車とセットなら・・・」と言うのは単に商売上の話ではなくて理由があるんです。 自転車って同じようでも微妙に少しづつ違う。だからフレームによって、極端に言えば付けるカンチの種類によっても微妙に角度が変わってきます。大体リアのカンチ台座間隔だって68mmから82mmぐらいまであるしね。 これは今回今野さんも言ってました。 ちなみにケルビムではやりませんが、某ショップのフルオーダーフレームにこういうキャリアもセットで頼んだ場合の追加料金は1〜2万円ぐらいと聞いたことがあります。高いと思います? 他の特殊工作もそうなんですが、手間を考えればそういう追加オプションてえらい安いんですよ。手間を考えればね。でも注文主からすると「ここがちょっとこうなってるだけじゃん」としか見えないから手間に見合った値段はつけられない。寿司屋の大トロと同じようなもんですね。
と言う訳でみんながハッピーになる方法を思いつきました。 と言うと町田方面から「そんなこと考えないでくれた方が俺はハッピーだったわい!」と大ブーイングが聞こえてきそうですが。(爆笑)
実はこの準備はもう1年前から始まっています。 子連れ狼さん、Teiさん、高地さんらと世田谷のH商会を襲撃したときです。 要は出来合のものを改造しちまおうと、この場合の出来合とはランドナー用のフロントバックサポータです。台座が長いのはこれしかありません。
このときの作戦はカンチ台座取り付け部分をちょんぎって短くするってんでしたが、図面はこれですね。・・・図面か?これ(笑)
でも1年近くたつと怪造設計も進化しました。(笑)
泥よけプロトタイプとキャラダイスサポータ
なかなか日曜が晴れないので行きそびれていましたが、ついにこないだの日曜に行ってきました。 いや、なんとか保つ
かと思ったらやっぱり途中で降られましたが。 泥よけですか?プロトタイプがこれです。
止め金具は前回の2世号のプロトタイプよりも進化しています
。 薄いステンレス板ですからちょっと心もと無いんですが、鉄板でちゃんと作ってもらえばネジ回しかアーレンキーで簡
単取り外し出来るはず。ところでこの画像のサドルバックサポータはサドルバックと同じキャラダイスのもの。この
止め方でほんとに保つんかいな〜と思ったんですが、思ったよりは保ちそうです。が、デカサドルバックにガンガン荷物
を詰め込むことを考えると不安ですね。まあ最初からこれはコレクションみたいなものですが。 今野さんはこのサド
ルバックサポータを見るなり、 「なにこれ、自分で作ったの? カッコ悪い!」だって、フキフキ
"A^^; 「いやこれ、このサドルバックと同じメーカーのですよ。イギリスの」 「でもカッコ悪い!」 「だから作ってくれって言ってるんじゃないですか」(;^_^A アセアセ…
いよいよサポータ怪造!
とまあ、それはさておき「進化した方法」ですが、カンチ台座のところではなくて台座と足のロウ付けを外してしまってブリッジで固定するところを曲げて位置の現物合わせを
して足をちょんぎってロウ付けしなおすって方法を採りました。
ロウ付けしなおし部分の再メッキなんか出来ないですが、この位置ならサドルバックに隠れてしまうのでどうで も良いです。
こういう感じですね。足が荷台から外れて上に飛び出しているのが解りますか?
ちなみに上の写真は泥よけ取り付け金具を作ってもらっているところです。
その位置決め、この位置決めの為に泥よけ取り付け金具を先に作ってもらったんですが。マーキングが終わったところであとはお任せして電車で帰ろうとしたら師匠が、
「今日片づけちまおう! 手伝え!」と、 「えっ! 今日やっちゃうの?」 「そうしたら乗って帰れるだろう 」 要するに今野さんはさっさとこの自転車を終わらせてホッとしたいらしいんでありました。(笑)
だけどもう夜の7時ですよ。フキフキ "A^^; それから 足をゴリゴリ切ってヤスリでくぼみを付けて寸法合わせ。 「これでどうだい?」「左をもうちょっと削った方が良いんじゃないかな〜」 ゴリゴリ・・・・ 「まあ、だいたい水平だからこれでいいや」 「もう岩田さんの責任だからね!」 「うう、それで俺に手伝わせてるんか・・・」(;^_^A アセアセ…
「じゃ、タイヤ外しましょうか」
「いいのいいの、そのままで」 「えっ! タイヤが燃えちゃうじゃないですか!」
「大丈夫!、このL型鋼でカバーしてここ持ってて、いくよ!」 「ひえ〜、ちょっと待った! 軍手をさせて下さい!」(;^_^A
アセアセ… 「大丈夫だよ、それぐらい!」 ゴー!だったかシュー!だったか、「ひー、怖いよ〜、おかあちゃーん!」(;-_-X;) と言いながらもしっかりデ
ジカメのシャッターを押す賄い岩田でした。報道カメラマンの鏡ですね。(爆笑) ちなみに手前は私の手です。
命がけで出来上がったのが左上の画像です。
「ワーイ、出来たー!」「まだまだ、これは仮止め、さあ丁稚、キャリアを外して!」 「へい親方!」 んで、今野親方は丹念に本ロウ付けをやります。 「まっ、こんなもんでいいだろう。」 組立は丁稚の仕事です。 「親方、出来ました。泥よけを付けてもちょうど良い案配です!」 「当たり前じゃないか! だれがやったと思ってる!」
とふんぞり返る親方。(笑) 「あっ、親方、よく見るとほんのちょっと右に傾いています!」 「最終確認をしたのはお前だろ!」 しゅん (._ _;;)
まあそんなのはグイグイと曲げちまえば良いんですがね。
出来ました!
と言う訳で、結局日曜はお店を出たのは夜の8時になりましたがやっと師匠の笑顔が見られるようになりました。きっと「あ〜これで1年近く悩まされたオーダーから解放される。今夜から気持ちよく寝られるぞ〜」とでも思ったんでしょう。(笑) それまでは自転車全体には厳としてコメントしなかったのにいろいろと言いだしました。 「前過ぎなサドルの位置が気になるけど、でも英国車って確かにこうなんだよな〜、サドルバック前提で考えると確かに合理的ではあるんだよね。」 なんてね。あの口の悪い今野さんにしては優しいお言葉。2世号のときは「気持ち悪い自転車!」だったのに比べるとえらい進歩です。(爆笑)
なにはともあれ世界に1つしかない北道ハンドルとそれ専用のフレームに加え、専用の世界にひとつしかないサドルバックサポータが出来上がった訳です。リアの泥よけもうまく収まったしね。めでたしめでたし。(^o^)/
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