最新式北道ハンドル(North Road bend)前編
ところで、4時頃店についてショールームにこの自転車を持ち込んだ時には2代目の真一さんも奥様も「格好良く組んだじゃないですか〜」と言ってくれたのに、今野さんだけは「どうです?」と言っても「ハンドルはカッコイイ」としか言わなかったんですわ。フキフキ
"A^^;
今野さんはこのハンドルだけは悪く言う訳がないんです
このハンドルは昔はいかにも私の発想で特注しているように書きましたが、ほんとは今野さんが自分の三輪車やショーモデルに作っていたのを見て「俺も欲しいー!」と言い出したのがそもそもの始まり、もう2〜3年前の話です。
去年のこのプロトタイプのハンドル(画像)も実はショーモデル用の試作品。
この画像をよく見て頂いたら解るようにプロトタイプはネジ1本で開きを色んな角度に変更出来ます。それを数ヶ月使って「この角度!」と決めたところは私の仕様ですが、グリップ終端をまた曲げているのは今野さんの発案。 使ってみるまでは「何でこんなとこ曲げたの? 変なの!」と言っていたんだけど、実際に使ってみると実に具合が良いんですわ。(^o^)
んで、これを北道ハンドルと呼ぶのは実は英国はロンドン・ノースロード・サイクルクラブのハンドル、ノースロードバーをもじっているんです。もっともケルビムの今野さんは自分で色々と合理的なものを試作していた結果で、「ノースロードバー」なんて全然意識していないですが。 あたしゃ、あの方のヒントはオートバイのハンドルだと思っているんですがね。根拠ですか? 私のこのハンドルが如何に優れているかを説明しているときに「オートバイだってこうじゃないか!」とわざわざ私を店の裏に置いてあるバイク(ドカディ?)のところまで連れて行ったから。(笑) もうひとつ、今野さんのオリジナルはこんなに開いてはいません。ノースロードよりはマスタシハンドルに近いイメージです。今年は違いますが、去年まで3年連続でハンドメイドバイシクルショー出品車にはそれを付けていました。
ノースロードバーと言うのは
私は私で別に英国車なんかへの興味からではなくて(と言うかそんなの知らなかったし)フラットバーはどうもそのままでは使いにくいと思っていたところで、セツ雅春さん−漢字変換で出てこない(^_^;) −の「自転車パスハンティング」って本でちょうど良さげなハンドルを見つけたのが始まり。
ノースロード型ハンドルは若干前方に曲がり、更にグリップが手前に曲がってきているタイプ、英国に原型を見るが悪路にも強いのでこの名が付いたとのことだが、英国の北の道はラフロードだったのだろうか?
って解説が。そりゃ違うよ。(;^_^A
アセアセ… と気がついたのはずっと後のことでしたが。で、名前の由来を知ったのはこのサイトです。
Servicing English Three Speeds
Sports or "light roadster" bicycles were the basic transportation of
the urban working class. They feature 590mm (26 x 1 3/8) wheels with
Endrick or Raleigh-pattern rims, full steel fenders (or "mudguards" to
the British) "North Road" upright handlebars, and cable-operated brakes.
Sports bicycles had rather more nimble frame geometry, typically with 72
degree frame angles. These bicycles were faster and lighter than
roadsters.
(1930年代から60年代の英国の内装3段自転車の黄金時代において)スポーツ、あるいは「ライトロードスター」自転車は都市の市民の一般的な移動手段でした。それらは、Endrick
or Raleigh-pattern rimsを備えた590mm(26のx
1・3/8)の車輪を特色とします、十分な鋼フェンダー(あるいは英国人への「泥よけ」)「North
Road」の直立したハンドル、またケーブルに操作されたブレーキ。スポーツ自転車は典型的には72 度の frame
angles をもち、比較的敏活な
frame geometryを持っていました。これらの自転車はロードスターより速くより軽かった。
自転車クラブの一般会員はこのクラスだった様です。ところがこのタイプの自転車がこのサイトには無いんですよね。こんな感じでしょうか。ノースロードをアップハンドルで使ったこのポジション自体は私のものよりも立っていてどちらかと言うと「お姉さんのミキスト」ですね。 サドルもブルックスB72みたいだし。
ノースロードバーで72 度の frame angles(シートチューブ角度?)なんてSports or "light
roadster" bicyclesでもtrue club
machinesでも同じなんですが、そのまんま北道3世号にも当てはまりますね。 でも当時の最新鋭スターメイチャー内装3段変速に相当する現在の変速機は
3 x 9 の27段。当時も外装変速機はあったと思うのですが、現在で言えばリア10段のカンパとかヂュラエーアスに相当するんじゃないでしょか?
んでノースロードバー(North Road bend )自体の説明は http://www.sheldonbrown.com/gloss_m-o.html#northroad
The style of handlebar used on most English
3-speed bicycles. This is a fairly narrow bar with a slight rise,
grips nearly parallel to the frame.
This design was formerly associated with the
North Road
Cycle Club, north of London. It is a reversible design, most often
used in the upright position, but quite serviceable in the dropped
position as well, for a more agressive riding position. In the reversed
position, it resembles a Moustache handlebar, but with sharper bends and
a bit more drop.
英国の内装3段自転車の黄金時代に、North Road
bend のスタイルはほとんどの英国の内装3段自転車で使用されました。このデザインは以前はロンドンの北にあったNorth Road Cycle
Club(翻訳すると北道自転車倶楽部・笑)のものです。それは上体を起こしたポジションでよりagressiveに走るために使用されましたが、ドロップ同様に全く便利でした。逆にされた位置では、Moustache
handlebarに似ています。
とまあこんなことが書いてあるんじゃないでしょうか。自信ないので少し省略しましたが。このサイトの画像は上向きですが、上下逆にしているものも多いです。ちなみにMoustache
handlebarってのはこの時代の英国のハンドルをずっと後になって真似したものです。
このハンドルはママチャリハンドルだな〜って思うかもしれませんが、あーた、考えてもみなさい。 50年もさかのぼらなくたって、実用車のハンドルはこうじゃないんです。ロッド式ですからね。だけどやっぱりノースロードバーのイメージは下向きだよな〜、と言うんで読み進むとClub
bicyclesのところに出てきます、「逆にされた北道ハンドル」が!(笑)。
A club bicycle will typically have Reynolds 531 frame tubing,
a narrow, unsprung leather saddle, reversed North Road handlebars (or
drop bars), steel "rat trap" pedals with toe clips and 597mm (26 x 1
1/4) or 630 mm (27 x 1 1/4) wheels.
ついでにクラブモデルの典型と我が3世号を比べてみると
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レノルズ531フレームチューブ :
該当しますね、一部はレイノルズじゃないところもあるけど。
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狭くばね付きでない革サドル :
ブルプロですからそれそのもの。B72は「スポーツ」の方ですね。
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逆にされた北道ハンドル :
はいやりました。アップハンドルなチネリは逆にしたし、最新式北道ハンドルはそもそもアップハンドルではない。
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26インチで
1・1/4=31.8mmのホイール:
今度のタイヤは26インチで32mmっす。ぴったりですね。(笑)
「ん? フレームジオメトリの特徴が書いてないではないか。 だめじゃん!」 と言ってもこのサイトはスポーツ、あるいは「ライトロードスター」との比較でエリートクラスのクラブモデルの特徴を述べてるんでフレームジオメトリ自体はほとんど変わらないんですね。 突っ込まれる前に言っておきますが、ほんとはリムの径は違います。でも体格比で補正すれば。(笑)
これまでに手に入れた海外のノースロードバー
私がこれまでに手に入れた海外のノースロードバーは下の画像の上から2番目チネリのものと3番目の3Mのものです。一番上が今回の最新式ノースロードバーですね。「自転車パスハンティング」に出てくるノースロードバーは2番目のチネリそっくりです。
で、そのチネリのノースロードバーを以前に2世号に付けてみました。と言っても天地逆です。 今野さんと話をしていたとき 「日本のハンドルはどうもカッコ悪いが、チネリなんか日常の自転車用のハンドルでも美しいのがあったんだよ」 「これがそのチネリのですよ、上下逆に付けたけど、ほらチネリのマークがあるでしょ」 「えっ? なんでこんなレバー付けちゃった訳? あんたが使うと全然格好良くなんね〜なぁ」 なんていつもの憎まれ口をたたくんですが。(笑) 実際美しい曲げです。 オポジット(逆)レバーを付けたのは別に「逆・逆」って洒落ではありません。このハンドルはロードのドロップみたいに経が太くて、MTB用のレバーが入らなかったんです。NIFTY-FCYCLET
7番会議室では「リーマでレバーの穴をひろげちゃったら?」なんて意見もあったんですが。で、苦にくの策でオポジットレバーを付けた訳です。これなら付いたんで。
3Mのノースロードバーの方は長いこと「在庫」のままだったのですが、今回カンパのブレーキレバーとWレバーを3世号に移すん為に2世号を当初予定のXTラピッドファイアーに変更したときに使ってみました。3Mのものは経はMTBハンドルと同じでシフトレバーもブレーキレバーも入ります。 でもダメです。チネリもそうなんですが、やはりヨーロッパ人の肩幅と典型的日本人である私の肩幅は全然違うので幅が有りすぎるんです。
チネリの方はオポジットレバーですから良いのですが普通にレバーを付けるとこのグリップの角度とレバーの角度を見てください。もちろんグリップをママチャリみたいな短いものにすれば良いのですが、それでは握る位置が広がり過ぎてしまいます。これだって握り位置が広くて不満なのに。
と言う訳でヨーロッパ産ノースロードバーは私の体型では合わないんですね。と言うのが昔から今野さんに「俺にも作ってくれー!」と頼んでいた理由です。この幅がどうしても広くなってしまうのは曲がりの性ですね。ちょんぎって溶接(ロウ付け)なら曲がりに使う長さが省略でき短いノースロードバーが出来るって訳です。
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